2010年1月アーカイブ

どろえびすの診療話、悔いが残った例

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倒れている人の状況を瞬間に判断するのは難しい。それだからこ

そ、長いこと診ている「かかりつけ医」の情報はできる限り活用し

てくれないと...

 

これは何とも微妙な話だ。

何が微妙か。

それは、この文章がわたしの今の気持ちをうまく伝えることがで

きるかどうかられるかどうかそこが微妙なんだ。

 昨日の話だ。

 長く診ている患者さんのFさんは80歳代の独居婦人。糖尿病に

閉塞生動脈硬化症、それに「認知症」である。この婦人はもう5、

6年わたしが診ている。

 一昨日、1月26日の午前8時。ヘルパーさんが訪れてみると、

この婦人が廊下に転んでいたという。夏ならともかく、この寒さ、

夜中の早い時刻から暖房のない廊下に転んでいたのか、それともヘ

ルパーが訪れる直前に転んだのかはわからない。これは重大事態だ、

と瞬間に判断したヘルパーは、すぐ消防署の救急に電話した。

その判断は正しかった。

そしてケアマネージャーにも...。

救急隊はわたしたちと同じ法人のK病院に「頭を打って倒れてい

る」と電話したらしい。電話を受けた救急担当の師長は「頭を打っ

ているならC病院に」と言ったようだ。

救急隊員は脳外科のあるC病院に患者を運んだ。

わたしは、C病院に「診療情報」をファックスした。

 それにしても、倉敷市の救急対応は進んでいるし、隊員の努力は

大いに評価する。認めはするが、それでもまだまだ十分ではない。

 こんな状況をみた時、どうすればいいか、まず「バイタル」をチ

ェックし、その後は、午前8時という時間なんだし、休日じゃあな

いし、なぜすぐ「かかりつけ医」に電話しないのだろうか。

そこがわからない。

なぜ、どうしたらいいかを尋ねてくれないのであろうか。

 全く疑問だ。

 瞬間に「頭部打撲」と判断し、脳外科に送るのが適切と思ってC

病院に運んだのであろう。だが・・・、あくまで結果論だが、この

婦人は次第に弱くなっているのはみんなの共通認識だったし、二週

前には娘さんに入院をすすめたが賛同は得られない。ケアマネージ

ャー自らの休日を割いて安否確認に行き少しでも温かくと工夫をし

ていた。わたしも倒れる日の二日前には往診し、前日患者さんの診

察後に娘さんに電話し、再度入院医療を強くすすめた。

こんな「かかりつけ医」の立場からは残念な反省すべき例になっ

てしまった。

推測だが、この例は「偶発的低体温症」だと思っている。彼女の

病状についてC病院から情報がは入った。「まだ覚醒しない」と。

彼女が倒れる前の日と倒れた後のことについてはまた日をあらた

めて記すことにする。              ('10.1.2.)

 その昔、医者になって間もない頃、わたしは大学の医局にわらじを脱いでいた。大学での報酬は「0」だったから、みんな「関連病院」にアルバイトに出て生計をたてていた。いわゆる「無給医局員」である。この「無給時代」が大体6年続いたから当時、みんなよく辛抱したものである。この時期の関連病院の診療はどれもこれも新しいことが多くてその後ずいぶん役に立ったように思う。第一、診察を受けに来る患者さんが多い。新米で力はなくとも「大学から来た先生の診察」というからかどうか朝8時半に外来に出て、休む暇もなく午後1時、2時まで患者さんを診ることがざらであった。

 ところが、わたしのクリニックだけかどうかは知らないけれど、最近は小さい診療所に患者さんが余り来られなくなったように思う。

 それでも、どういう風の吹きまわしか、わたしが勤めているクリニック、最近患者さんが多くて、毎日大抵午後1時ころまでかかってしまう。喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない。

 今日午後、市の保健婦さんから、介護保険の「認定審査」についてお電話をいただいた。その時に彼女は「『どろえびすの診療日記』読ませていただいています」と言われた。嬉しくって「ありがとう」と礼を言ったが、ホントはね、「書き込み」をしてくださったらもっと嬉しいのに・・・('10.1.25.)